中学受験の秋冬になると、
多くのご家庭が抱え始める悩みがこれです。
「模試の偏差値は低いのに、過去問だと意外と点が取れる…」
「逆に、模試はいいのに、過去問が全く歯が立たない…」
どちらも 毎年必ず一定数のご家庭で起こる現象 で、
決して珍しいことではありません。
むしろ、2026年入試は
SOの偏差値が例年より辛めに出ていること
サンデーショックで2/2本命が多いこと
この2つの理由で“ズレが大きく出やすい年”です。
では、この“食い違い”はどう読み解くべきなのか?
志望校の変更を考えるべきなのか?
結論はとてもシンプルです。
模試と過去問は“そもそも測っているものが違う”
ここをまず理解しておくと、後の判断がすごく楽になります。
模試が測っているのは「基礎力・処理速度・総合力」
模試(SO・合不合・NNなど)は、
広い範囲をスピード感を持って処理できるか を見ています。
- 内容は広く浅い
- 1問あたりの制限が短い
- 記述が少ない(模試は採点が大変なので)
- 集団の中での位置を示す
つまり、
「全体力」「スピード力」の試験 です。
過去問が測っているのは「志望校のクセとの相性」
対して、過去問は
“その学校の作問のクセに合うか” がすべて。
- 読解の癖
- 記述の量
- 思考の流れ
- 設問の誘導
- 図形の扱い
- 科目ごとのバランス
つまり、
模試=広く測る総合検査
過去問=特定の学校への“相性テスト”
という構造なんです。
だからこそ、ズレが起きます。
「模試は悪いのに過去問ができる」ケースは珍しくない
これ、実は “本番が強いタイプ” に多い んです。
① 本命校の作問と子どもの思考タイプが合っている
模試では点が取れないのに
本番校の問題は指が止まらない
という子は実際に多い。
例えは、こんな特徴の子。
- 丁寧に読むと強い
- 流れを追うのが上手い
- スピードはないが精度が高い
- 試験本番で落ち着いているタイプ
SOは処理量型で “勢い” が必要なのに、
本番の過去問は「丁寧に読み解けば解ける」構成の場合、
差がドンと開きます。
② SOのスピード型が苦手なだけ
SOは特殊で、とにかくスピード勝負。
- 時間が足りない
- 落ち着いて読むと点が伸びない
- 読解が重たい
- 算数が処理型
- 女子は特に点数が辛く出る年
こういう子は SOは苦手だけど過去問は取れる ことが多い。
これは 相性の問題 なので、気にしなくてOK。
③ 模試は母集団が“2万人”、本番は数百人
母集団が違えば、
点の出方もまったく変わります。
模試は広い層の中で戦うため、
偏差値は“盛大にブレる”。
④ 過去問の得点が安定しているなら志望校変更の必要なし
3〜5年分の過去問の
中央値 が安定していれば、
模試の数字よりも 過去問を優先で OK。
むしろ、その学校は“合っている”。
「模試は良いのに過去問が取れない」ケースは焦らなくてOK
これ、意外と多いし、初回は本当に取れない。
① 学校特有の“クセ”に慣れていないだけ
ほとんどの学校は
1〜2年分では全く歯が立たない のが普通。
- 記述量が多い
- 設問の誘導のクセ
- 思考の飛ばし方
- 語彙の癖
- 図形が多い学校
最初は全然ダメでも、
3〜5年分で急に伸びる子が多い。
② 模試の得意分野と過去問の比率が違いすぎる
例:
- 模試:図形少なめ → 得点しやすい
- 本番:図形重め → 点が全然入らない
- 模試:記述なし
- 本番:記述必須
これは**「模試ではよくできるのに…」**となる典型例。
③ 過去問の年度ごとの難易度が乱高下する学校がある
2021だけ激ムズ
2022だけ簡単
2023は平均
そんな学校は普通にある。
だから1〜2年分だけで
「無理かも…」と思う必要はない。
④ このパターンは“慣れ”で一気に伸びる可能性が高い
特に国語と算数の癖は
慣れると突然抜けることがある。
「過去問の点が安定してきてから判断」で遅くない。
どっちが正しい?迷ったらこの“3本柱”で判断する
① 過去問の“中央値”で判断する
最高点でも最低点でもない。
「真ん中」が本番に近い。
② 模試の偏差値は“自分が立つ位置”を知るためだけ
偏差値はブレるもの。
見るのは 安全校との距離だけ。
③ 相性が良いなら多少偏差値が足りなくても粘ってOK
相性は偏差値を凌駕する。
本番に強いのは 相性タイプ。
2026年はズレが“例年以上に出やすい”年
- SO偏差値が辛く出る傾向
- 女子は特に得点が伸びづらい構造
- サンデーショックで本命校が2/2に集中する
- 「相性」が普段以上に重要になる
つまり、
模試の数字だけで志望校を変えるのはもったいない。
まとめ|模試と過去問がズレても、すぐに志望校変更ではない
- 模試は総合力
- 過去問は相性
- ズレは“普通に起こること”
- 過去問の中央値と相性を優先
- 2026年は特にズレが出やすい
- 焦って志望校を変える必要はない
最後に一つだけ。
過去問が解けるなら、その学校への適性はある。
模試の数字はただの“練習試合の結果”にすぎない。
本番は「相性」で大きく変わる。
これまでの努力と相性を信じて、落ち着いて進んでいけますように。

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